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建設協力金方式による定期借家契約と事業承継

【ご相談者】

名古屋市から離れた新興の市街地の幹線道路沿いにご自宅と、老朽化したアパート・貸倉庫事務所を所有されているE様。

Eさんには、奥様と3人の子がいましたが、奥様とは一時別居していたこともあり夫婦仲は良くありませんでした。また、子どもたちも転職を繰り返すなど問題がありました。Eさんには、男の子の孫が一人だけいました。離婚した長男の子でした。
Eさんはこの孫が不憫であり、跡取りにしたいと考えおられました。

一方、不動産業者は、奥様や子ども達に、マンション経営や、起業に協力しますなど、色々な儲け話を持ちかけていました。
中でも、Eさんの相続税対策と称して10階建のマンション建築がしきりに勧められていました。このような状況で、奥様と子どもたちは不動産会社に勧められるまま、収支計画、建築計画(工事費と階数・工事内容・建物配置などの兼ね合い)の内容をほとんど検討することなく、また相見積を取ったり、他の有効活用方法について複数の不動者会社にプランを出させるなどして検討することなくもなく、マンションの建築を進め、Eさんに建築設計管理契約への署名押印をさせてしまいました。

全額借入で、その地域では大規模な部類になるマンションの建築に不安になったEさんは、当事務所にご相談にみえました。

相続税を試算してみると、Eさんが想定されていたような額ではありませんでした。
また、その建築計画を見てみると、名古屋からかなり離れた新興市街地でありながら、1~2階が店舗、3~10階が賃貸マンションという構想に無理があるように思われました。店舗に出店があるのか疑問があるのにも関わらず、収支計画書はうまい話ばかりで、とても危険な内容に見られました。

しかし、一度署名した建築設計管理契約を無効にするのは、大変難しく調停に持ち込みました。一般に建築費の8~12%と言われる設計・管理料の支払いを要求され難航しましたが、それを下回る金額で和解を成立させました。
和解金支払いは高い授業料でした。そのかわりに、その結果はEさんにとって正解でした。

当事務所は、この問題の解決の過程で、相続税対策、家族関係などを考慮し、不動産投資を行うには、法人を設立し、建設協力金方式による建てて貸す方式(定期借家)が良いと考えました。
当事務所が代理人となり、複数のデイベッロパーに建設協力金方式による定期借家の提案を求めました。検討を重ね、交渉した結果、安定性・信頼性から某外食産業に15年間計画で建物を賃貸する契約を成立させました。

ちなみに、貸主は設立した法人です。そして法人が地主であるBさんから土地を借りる契約をセットで締結しました。
そして、その法人の当初の株主はEさんでしたが、後を継がせたかった孫を養子にした上で、その養子に株式を譲渡したのです。厄介な相続問題の対策をするとともに、安定的に賃貸するために法人で貸し、自己の所有土地に借地権の負担を負わせたのです。

これが、将来起きるであろう相続問題を最小限におさえることになりました。

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