一般的に、不動産の売買契約には、所有権移転時期を「売買代金全額支払い時」とする特約がついていることが多く、売買契約を締結してもその日に所有権が移転するわけではありません。その後の代金全額を決済するときに所有権が移転することになります。
決済は通常金融機関で行われます。動くお金が高額となるため現金での支払いに不向きであり、また、購入者が住宅ローンを組むことが多いことから、その手続も同時に行うためです。融資を利用する買主は、銀行との決済の日程調整も必要になります。
仲介する不動産業者がいる場合、買主は通常、不動産会社から決済に立ち会う司法書士について希望を聞かれます。買主の指定がなければ不動産会社が指定する司法書士が決済に立ち会います。
指定された司法書士は決済当日までに売買契約書、売買物件・当事者を確認し、登記申請に必要な書類の作成などの準備をします。
決済当日は買主、売主、不動産仲介業者(仲介業者がいる場合)、融資先銀行の担当者(買主が融資を利用して購入する場合)、司法書士が集まります。
司法書士は売買の対象物件や当事者、その他必要な書類を確認し当事者へ説明します。「人」「物」「意思」の確認をしっかり行ったうえで、登記に必要な書類がすべて整ったところで売買代金の決済を促します。
対象物件に売主が設定した抵当権がついている場合、司法書士は事前に売主側の融資銀行担当者から抹消書類のコピーを受け取り内容を確認しておきます。そして決済終了後、抹消書類の原本を受け取ります。
決済のお金の流れは、B銀行から買主へ融資実行、買主から売主へ残代金支払い、売主は借り入れ先A銀行へ弁済となります。
決済終了後、司法書士は登記申請を行います。登記申請はお金の流れとは逆の順番になります。
①A銀行の抵当権抹消登記
②売主から買主への所有権移転登記
③B銀行の抵当権設定登記
の順に申請します。
買主
①住民票
②印鑑証明書(担保設定する場合)
売主
①権利証(登記済証)
②印鑑証明書(作成3ヶ月以内)
③法人の場合には資格証明書(作成3ヶ月以内)。決済当日は実印も必要です。
というように、すべての関係当事者の目的を達成するお手伝いをし、不動産取引の安全を担保することができます。
司法書士が不動産売買の決済に立ち会うことで、
というように、すべての関係当事者の目的を達成するお手伝いをし、不動産取引の安全を担保することができます。