建物賃貸借契約の種類

賃貸借と使用貸借

建物の貸し借りは、法的には大きく2つに分類されます。

賃貸借契約(民法第601条)

この契約は、建物の使用及び収益をさせることによって、代わりに賃料を受け取ることとするというものです。
一人暮らしをする際にアパートを借りたり、何か事業を行う際に事務所を借りたりする場合などが典型例であり、広く一般的に活用されている契約形態と言えます。

使用貸借契約(同法第593条)

この契約は、無償で建物の使用及び収益をすることを認め、その後返還を受けることとするというものです。
賃貸借契約との最大の相違は、貸主が賃料を受け取るか否かという点にあります。親が所有している不動産に子どもを住まわせてやる場合など、親族間に成立することの多い取引で、契約書等の書面も揃っていないことが多いと思われます。

賃貸借契約の種類

一般の取引社会では圧倒的に賃貸借契約が多いかと思いますので、ここでは、賃貸借契約にスポットを当て、さらに細かく分類してみたいと思います。
賃貸借契約には、大きく分けて普通建物賃貸借契約と定期建物賃貸借契約があり、後者は、一定の要件の下で更新しない特約をした契約と分類することができます。
さらに、定期建物賃貸借契約の中には、期限付建物賃貸借契約や一時使用目的の賃貸借契約等がありますが、これらの説明については、後日の記事に委ねたいと思います。

普通建物賃貸借契約と定期建物賃貸借契約との違い

(1)期間

普通建物賃貸借契約
1年以上。1年未満の場合には期間の定めのない契約とみなされる(借地借家法第29条1項)
定期建物賃貸借契約
制限なし(1年未満の期間合意も可能、同法第38条1項後段)

(2)賃料の増減額

普通建物賃貸借契約
賃料増減額請求権が認められ、減額しない特約は無効(同法第32条1項)
定期建物賃貸借契約
賃料増減をしない旨の特約も可能(同法第38条7項)

(3)契約の締結

普通建物賃貸借契約
口頭による契約の締結も有効(民法第601条)
定期建物賃貸借契約
「公正証書による等書面によって契約をするときに限り」認められる(借地借家法第38条1項前段)。また、賃貸人は、賃借人に対し、事前に「契約の更新がなく、期間の満了により建物の賃貸借が終了する」旨を記載した書面を交付して説明しなければならない(同条2)。この書面による説明を怠った場合、更新のある普通建物賃貸借契約となる(同条3項)。

(4)期間満了時の更新

普通建物賃貸借契約
解約申入れがなされ、これに正当事由がない限り、更新されます(同法第28条)
定期建物賃貸借契約
期間満了により、当然に終了する。もっとも、1年以上の期間を定めた場合には、賃貸人は、期間満了の1年前から6か月前までの間に、賃借人に対し、期間満了により契約が終了する旨の通知をしなければ、その終了を賃借人に対抗することができない(同法第38条4項本文)。

※かかる通知を忘れてしまい、後日通知をした場合には、その後6か月の経過をもって、賃貸人は賃借人に対し、契約の終了を対抗することができることとなります(東京地判平成21年3月19日参照)。

(5)中途解約

普通建物賃貸借契約
中途解約についての定めがあればそれに従うが、かかる定めがない
場合には、原則として、賃貸人からも賃借人からも中途解約は認められない。
定期建物賃貸借契約
賃貸人からの一方的な中途解約はできない(合意解除は可能)。

賃借人からの中途解約については、居住の用に供する建物の賃貸借(床面積(建物の一部分を賃貸借の目的とする場合にあっては、当該一部分の床面積)が二百平方メートル未満の建物に係るものに限る。)において、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により、建物の賃借人が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、建物の賃借人は、建物の賃貸借の解約の申入れをすることができる。また、この場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から一月を経過することによって終了する(同法第38条5項)。

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