土地を貸す場合、その期間は長期に及び、仮に定期借地契約を締結し終期を決めたとしても、その間に契約の時点では想定していなかったような様々な事情の変更が生じる可能性も高いと思います。
それでは、これらの事態に備えて、契約でいつでも中途解約できる旨の定めをすることは可能なのでしょうか。
結論から申し上げますと、賃貸人からの中途解約についての特約は許されませんが、賃借人からの中途解約についての特約は一定の場合に許されます。賃借人からの中途解約が認められる場合とは、地震や火災によって建物が滅失してしまった場合等です。
このように、双方からの中途解約が非常に制限されているのは、そもそも定期借地契約は継続的な土地利用を前提としていることから、一方的な中途解約を認めてしまうと、賃貸人にとっては、当初予定していた賃料収入が得られなくなるという不利益が生じますし、賃借人にとっては、せっかく建てた建物を撤去せざるを得なくなるという著しい不利益が生じるからです。
ですから、定期借地契約を締結した場合には、相手方の同意なく一方的に契約を解約することは非常に困難となりますので、契約をする際には、賃借人としては、建物が滅失した場合等には中途解約が出来る旨の特約を入れ、賃貸人としては、安易に長期に亘る契約を締結しないことが肝要かと思われます。
もっとも、いざ已むに已まれぬ事情によって契約を維持することが困難な事態が発生した場合には、中途解約は無理なのだと諦めるのではなく、相手方に事情を理解してもらい合意解約をしたり、事情変更の法理を用いて、契約を解約したりする方法を専門家と検討されるべきかと思います。