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建物の貸主のための賃貸借契約書のチェックポイント

賃貸借契約書を作成するのは通常建物を貸す側の皆様が多いのではないかと思います。そこで、ここでは建物を貸す立場であるオーナー様が、確認すべきことをご紹介いたします。後に紛争が生じないようにするためには、様々な場合を想定し、契約書で手当てをしていただくことが有効です。

建物を貸している皆様が、賃借人との関係でお困りになることが多いことは何でしょうか?
まず、賃借人が賃料を払ってくれないという問題があると思います。
賃貸人は、賃貸建物について修繕義務を負い、それを所有している場合には固定資産税を支払う等、様々な負担をしているのですから、賃料が入ってこないということは非常に大きな痛手と言えるでしょう。
また、賃料を払ってくれないというわけではないが、物価の変動等によって賃料が適正でなくなったにもかかわらず、賃借人がなかなか賃料の値上げに応じてくれないという問題もあると思います。

しかし、これらの問題と同じかそれ以上にお困りになられることに、賃借人がなかなか退去してくれないという問題があるのではないでしょうか。

建物は、賃借人にとって生活や事業の本拠となるものであるため、賃借人の権利が強化されており、賃貸人の思うようには出て行ってもらえないのが現実です。それでは、どのような契約をすれば、賃貸人が想定した通りに建物を明け渡してもらえるのでしょうか。

方法として、主に
  1. 「一時使用目的の建物賃貸借契約」を締結する方法
  2. 「定期借家契約」を締結する方法

があります。
いずれの契約でも、基本的に当初の契約期間の満了によって建物を明け渡してもらうことのできる契約です。

それでは、どのようにすればこれらの契約を締結することができるのでしょうか。

一時使用目的の建物賃貸借契約を締結する

単に契約書に「一時使用」と記載すれば足りるというものではありません(大阪地判平成3年12月10日判タ785号166頁)。
裁判所では「一時使用目的」であるか否かは、賃貸借の目的、動機、そのほか諸般の事情から、その賃貸借を短期間に限り存続させる趣旨であるかどうかを判断されることになりますので(最判昭和36年10月10日民集15巻9号2294頁)、契約書を作成する際には、出来るだけ個別の事情に踏み込んで、「一時使用であること」「その目的・動機」など具体的かつ詳細な事情を記載しましょう。

定期借地契約を締結する

この契約を締結する際には、

  • 一定の期間(1年未満でも可。借地借家法38条1項後段)を定め、更新することなく、その期間満了によって賃貸借が終了する旨を契約書に記載する必要があります。
  • 多くの方々が忘れがちなのが、契約書とは別に、事前に「契約の更新がなく、期間の満了により建物の賃貸借が終了する」旨を記載した書面を交付して説明しなければならない(同条2項)ということです。これを忘れてしまうと「定期建物賃貸借契約書」を作っていても、更新のある普通建物賃貸借となってしまいます(同条3項)ので、ご注意ください。

その他にも賃貸借契約書を作成する際には注意する点がございますので、契約を締結する前には一度専門家にご相談されることが、後の紛争を予防する何よりの対策となります。

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