例えば、火災で建物の一部が滅失したような場合、改正前民法では、賃借人は、①賃借人の過失によらない②一部滅失の場合③賃料の減額請求ができるとされていました。
改正前民法第611条
しかし、賃料は、賃借人が目的物を使用収益できることの対価であるから、使用収益できなくなった以上は当然に賃料が減額されるべきであるとの考えから、改正民法では、
されることになりました。
第611条
旧法と新法の違いは、
になります。
もっとも、1については、改正前民法の場合でも、減額請求の効果は一部滅失時に遡及すると考えられていたため、改正前と後とで、減額を請求できる時期は変わらないといえます。
トイレの故障、エアコンの故障、給湯器の故障、断水、雨漏り、停電、強制的な避難等、様々なケースが考えられます。これらの場合に、減額を認めるのか否か、その場合の減額割合、使用収益できなくなった場合の賃借人の通知義務等、トラブルとなりうる事項が多数考えられますので、契約書の定め方を工夫する必要があります。