改正前民法には、保証人が債務の状況等について情報を求めるための規定がありませんでした。
そこで、改正法では、保証人のために、3種類の情報提供義務を定めています。
第465条の10
情報提供義務者 主たる債務者
情報提供を受ける者 個人の保証人(保証人が法人の時は対象外)
対象範囲 事業のために負担する債務を主債務とする保証
主たる債務の範囲に事業のために負担する債務が含まれる根保証
保証契約の締結時に、情報提供義務を負うのは、事業のために負担する債務を主たる債務とする保証又は主たる債務の範囲に事業のために負担する債務が含まれる根保証の委託をするときです。
そのため、個人の賃借人がマンションの一室を借りるときなどには、保証人に対し、情報提供義務を負いません。オフィスや店舗のための賃貸借契約など、事業用の賃貸借契約についての保証を個人に委託する場合には、主たる債務者が情報提供義務を負うことになります。
情報提供すべき内容
第458条の2
保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、保証人の請求があったときは、債権者は、保証人に対し、遅滞なく、主たる債務の元本及び主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのものについての不履行の有無並びにこれらの残額及びそのうち弁済期が到来しているものの額に関する情報を提供しなければならない。
情報提供義務者 賃貸人
情報を受ける者 保証人(個人に限らない)
対象範囲 保証全般(事業用に限らない)
本条項は、保証契約継続中に、保証人が、賃借人の債務の履行状況を知ることができるようにするとともに、賃貸人が賃借人の情報を保証人に提供することが、守秘義務違反に該当しないことを明確にするための規定です。
第458条の3
情報提供義務者 賃貸人
情報提供を受ける者 個人の保証人(保証人が法人の時を含まない)
対象範囲 保証全般(事業用に限らない)
賃貸借契約における賃料は、毎月の支払い義務があるため、貸主が、期限の利益を喪失したという場合は少ないかもしれません。
ただ、滞納賃料を分割払いにした場合などは、期限の利益を喪失したという状況が考えられます。