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契約不適合責任

瑕疵担保責任(=債務不履行責任とは異なる法が特別に認めた責任)

これまで、土地建物や中古自動車など、目的物の個性に着目した特定物売買においては、売主は、瑕疵のない完全なものではなく、その目的物を引き渡すことが債務の内容となっているため、目的物を引き渡しさえすれば、売主としての債務を履行したことになり、例えば住宅に雨漏り等があったとしても、売主は債務不履行責任を負わないと考えられていました。

しかし、それでは、瑕疵のあるものを引き渡した売主と、瑕疵があることを知らずに代金を支払った買主との間に経済的な不公平が生ずることになります。

そのため、契約当事者間の衡平の観点から、特定物の売主に対して法が特別に定めた責任が、瑕疵担保責任であると考えられていました。

責任の内容

  • 原則として損害賠償
  • 例外的に契約の目的を達しない場合に解除

上記責任は、瑕疵担保責任が、本来債務不履行責任を負わないはずの売主に、法が課した特別の責任であることからして、売主の過失の有無を問わない無過失責任でした。

買主は、売主が善意無過失の場合にも、損害賠償、解除ができますが、損害賠償の範囲は、信頼利益(瑕疵が存在しないものと信じたことによって被った損害)に限られ、解除も契約の目的が達せられないときに限定されていました。

瑕疵担保責任の問題

  • 特定物・不特定物の区別が明確ではない
  • 特定物であっても、部品の交換や代替物の給付、修補など履行の追完が可能な場合がある

契約不適合責任(=債務不履行責任の一種)

特定物売買・不特定物売買の区別なく、売主は、契約の内容に適合した目的物を引き渡す債務を負うことを前提に、引き渡された目的物が契約の内容に適合しない場合には、債務不履行を負うことになります。

要件

種類、品質または数量に関して契約の内容に適合しないこと

  1. 用語の変更

    本来、目的物に欠陥があっても、契約の内容に適合していれば「瑕疵」ではないと扱われているが、「瑕疵」という言葉を用いると、目的物に客観的に欠陥があれば、契約の内容に適合していたとしても「瑕疵」とされてしまうおそれがあるため、「瑕疵」ではなく「契約の内容に適合しないこと」と用語が変わりました。

  2. 「隠れた」という要件の廃止

    「隠れた」という要件もなくなりました。隠れた瑕疵でなくても契約の内容に適合しない場合には、売主の責任を認める必要がある場合もあるからです。

  3. 数量不足についても契約不適合責任に

    これまで、数量不足については、瑕疵担保の問題ではないとされていましたが、数量不足についても契約不適合責任の対象となりました。

責任の内容

  1. 追完請求権(修補請求権)

    追完請求や補修請求は、債務の本来の履行を求めるものなので、売主が無過失の場合にも請求できます。

  2. 代金減額請求

    代金減額請求も、債務本来の内容を求めるものなので、売主が無過失のときにも請求できます。

    ただ、代金減額請求は、相当の期間を定めて履行の追完を催告し、その期間内に追完がない時に、請求することができます。

  3. 損害賠償請求(信頼利益から履行利益へ)

    債務不履行責任としての損害賠償請求であるため、売主の帰責性が必要となります。

    また、責任の範囲が、瑕疵担保責任のもとでは信頼利益と考えられていましたが、履行利益(債務が履行されていたとすれば相手方が得られた利益)まで広がります。

  4. 解除

    瑕疵担保責任に基づく解除は、目的を達することができない場合に限定されていましたが、契約不適合責任の下では、債務不履行責任としての解除と同様に扱われます。

    ですから、契約不適合責任の場合には、買主が相当期間を定めて修補するよう催告し、相当期間内に修補されない場合には、目的を達成できる場合であっても、契約の解除が可能となります。また、今回の改正法により、解除については、債務者の帰責性が不要となったことに注意してください。

第563条

  1. 前条第一項本文に規定する場合において、買主が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときは、買主は、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができる。

  2. 前項の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、買主は、同項の催告をすることなく、直ちに代金の減額を請求することができる。

     履行の追完が不能であるとき。

     売主が履行の追完を拒絶する意思を明確に表示したとき。

     契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、売主が履行の追完をしないでその時期を経過したとき。

     前三号に掲げる場合のほか、買主が前項の催告をしても履行の追完を受ける見込みがないことが明らかであるとき。

  3. 第一項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、前二項の規定による代金の減額の請求をすることができない。

第564条

前二条の規定は、第四百十五条の規定による損害賠償の請求並びに第五百四十一条及び第五百四十二条の規定による解除権の行使を妨げない。

責任追及期間

種類又は品質について不適合を知った時から1年以内にその旨を通知

これまで、瑕疵があることを知ってから1年以内に、損害賠償または解除の請求が必要だとされていましたが、契約不適合責任の場合、買主として請求できる選択肢が増えたことから、不適合についての通知で足りるとされました。

数量不足

消滅時効の原則が適用

権利を行使できる時から10年間、権利を行使できる時を知った時から5年間

第566条

売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から一年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。ただし、売主が引渡しの時にその不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、この限りでない。

瑕疵担保責任と契約不適合責任の相違点

瑕疵担保責任 瑕疵担保責任
要件 「隠れた瑕疵」が存在すること 「種類、品質または数量」に関して「契約の内容に適合しないこと」
責任の内容 ①損害賠償
②解除
①追完請求(修補請求)
②代金減額請求
③損害賠償請求
④解除
売主の帰責性 不要 ①追完請求→過失不要
②代金減額請求→過失不要
③損害賠償→過失責任
④解除→過失不要
損害賠償の範囲 信頼利益 履行利益
解除 契約の目的を達することができないとき無過失責任 債務不履行による解除無過失責任
軽微な不履行でない限りは解除可能(541条)
責任追及期間 1年以内に権利行使 1年以内に通知
※数量に関する不適合については行使できる時から10年、知った時から5年

商人間の売買契約についての検査義務及び適時通知義務

商人間の売買の場合には、商法526条で、

  • 買主が目的物受領後、遅滞なくその物を検査する義務
  • 検査の結果、契約不適合であることを発見した場合には、直ちに通知する義務

があり、これ等の義務に違反した場合には、売主の責任を追及することができなくなります。

かかる義務については、民法の改正に合わせて商法526条第2項、第3項の文言が変更されています。

商法526条

  1. 商人間の売買において、買主は、その売買の目的物を受領したときは、遅滞なく、その物を検査しなければならない。
  2. 前項に規定する場合において、買主は、同項の規定による検査により売買の目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないことを発見したときは、直ちに売主に対してその旨の通知を発しなければ、その不適合を理由とする履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。売買の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないことを直ちに発見することができない場合において、買主が六箇月以内にその不適合を発見したときも、同様とする。
  3. 前項の規定は、売買の目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないことにつき売主が悪意であった場合には、適用しない。

特約で異なる定めをすること

契約不適合責任に関する規定は任意規定であるため、特約で違う定めをすることができます。もっとも、売主が知りながら告げなかった事実については、責任を逃れることはできません(民法572条)。

ただし、売主が宅建業者の場合には、原則として契約不適合責任に関し、民法の規定より買主に不利な特約をすることができません。例外的に、種類又は品質に関する契約不適合責任を負う期間についてのみ、引き渡しから2年以上となる特約をすることができます。

数量不足については、公募売買が認められていることからも、特約の内容について制限されるのは、種類又は品質に関する契約不適合責任についてであり、数量不足については、特約を制限する対象とはなっていません(宅建業法第40条)。

宅建業法第40条

  1. 宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、その目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、民法(明治二十九年法律第八十九号)第五百六十六条に規定する期間についてその目的物の引渡しの日から二年以上となる特約をする場合を除き、同条に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない。
  2. 前項の規定に反する特約は、無効とする。

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