依頼者:Aさん(80代女性)
相手方:相続人16人
Aさんは、養父・養母が亡くなってから10年ほど経ったのち、唯一の相続人として自宅不動産の登記をしようとしたところ、実は、Aさんが養母とは養子縁組をしておらず、養母の相続人ではなかったことが判明しました。
しかし、養母の相続人が多数に増えており、また、相続関係が複雑だったこともあり、Aさん自身ではどうすることもできず、Aさんは、その後も10年ほどその状況のまま放置していました。
この度、Aさんがさらにご高齢になられたこともあり、本件を解決する決意をされ、弊所にご相談にいらっしゃいました。
本件は、調査の結果、相続人が16人に増えていました。
しかも、そのうち1名は、失踪宣告の手続きが必要でした。また、3名について、相続人が不存在だったため、相続財産管理人の選任が必要でした。
これらの手続きが終了したのち、Aさんは、相続人全員を被告として、時効取得を原因とする所有権移転登記手続きを認めてもらうための訴訟を提起しました。
本件では、訴訟になり争われたとしても、時効取得が認められる可能性が高いとは考えていましたが、Aさんが高齢であり資力も限られていたこともあり、できれば争わずに早期解決できることを望みました。
そのため、訴訟提起する前と後にそれぞれ相続人全員に手紙を送り、本件への理解を求めました。また、相続財産管理人となっている弁護士3名とも協議を重ね、和解の準備を進めました。
その結果、相続人全員が本件手続きに協力してくださり、無事、争うことなく時効取得が認められ、所有権移転登記手続きまで至ることができました。
本件は、失踪宣告から始まり、相続財産管理人の選任、訴訟提起、その後の登記と、非常に時間と労力を要する事件でした。しかも、最終目的は、Aさん単独での所有権移転登記ができることでしたので、司法書士との連携も不可欠でした。
そういった意味で、相続・不動産案件に強いという弊所の強みをフルに発揮できた事案であったと思っています。
2年